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[2181] 「背くらべ」補足(2)

投稿者: sitaru 投稿日:2021年 6月13日(日)19時42分31秒   通報   返信・引用

 長崎のsitaruです。「背くらべ」の歌詞については、 管理人様始め、多くの方からコメントが寄らせれており、いずれも興味深く拝読しました。前にも書いたことがあるのですが、私は元来メロディー、リズム重視派で、歌詞の内容は余り気にしない性格だと思っています。従って、歌詞がどんなに素晴らしくても、メロディーラインが印象的でなければ好きになれませんでした。この「背くらべ」の歌詞も、はじめは特に何も気にしていませんでしたが、大人になって改めて眺めてみると、確かに諸家のご指摘のような問題があることに気づきました。それでも「紐のたけ」の問題には気づかず、「おととし」とあるのも、単に音数を合わせるためだけと思っていました。同じように、「きのうくらべりゃ」の部分も、本来ならば「今日くらべりゃ」の方が、現実味が沸くのではないかと思い、そうなっていないのは、やはり音数合わせのためだと考えました。意地悪な見方をすれば、作詞者は尤もらしい言い訳をあとから付け加えたのかも知れないとも思えました。

 私にとっては、言葉の問題として、どなたかのコメントにもりました「背くらべ」の「背(セーまたはセイ)」の正体に興味があります。一般的には、「背(セ)」の発音が長く伸びたものと考えられているようですが、私の大学時代の指導教官は、雑談の中で、「背比べや背高のっぽのセイは、漢字音「勢」のセイでしょう」と事も無げに仰いました。先生は、日本語の音韻史、特に漢字音の歴史研究の権威のお一人でいらしたので、私は「へえ、そうなんだ」と感心して納得しました。ただ、雑談の中でしたので、先生は「勢」の音であるという根拠は示されないままに終わりました。私は漢字音の知識に乏しいので、それ以上考えることをせず、今日に至っています。

 もう一つ、これもどなたかのコメントにありましたが、歌唱される場合に、セイとセーの二通りの発音があることについてです。これも実は日本語の発音の歴史が密接に関係しています。子を除いた部分がエイともエーとも発音が可能な部分がある語には、「綺麗」「先生」「青春」などたくさんありますが、総じて言えば、童謡・唱歌の古い歌唱ではエーと延ばすことが多く、比較的新しい流行歌ではエイと二重の母音に発音することが多いようです。その理由については、紙幅が足りませんので、また別の歌の所で補足したいと思います。

 最後に、「背くらべ」の歌詞で、個人的な不満を述べるとすれば、二番の最後に「一はやっぱり富士の山」とあるところです。
 ここでこの富士の山をわざわざ持ち出す必要はなく、低い山同士の背比べで十分ではないかと思いました。作詞者は静岡市出身のようですので、富士山を日常的に見ることが出来、それを他の低い山と背比べさせて称揚するのは当然なのかも知れませんが、子供の頃、富士山を知ってはいても、一度も実際に見たことのないない私を含めた日本の大部分の子供たちにとっては、今一つピンと来ないのではないかと思います。「童謡・唱歌の歌詞は、すべからく汎日本的であるべきだ」と主張するつもりはありませんが、この歌に関しては、そのような感想を持ちました。


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